GAIA衛星が打ち上っても地上の2m望遠鏡で観測することはなくならない
GAIA衛星が打ち上がりました。
http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Gaia
GAIAのスペックは、
撮像 ~20等
低分散分光~20等
中分散分光(R~10000、0.86μ付近のみ) 16-17等
繰り返し観測あり!!
一方、地上にある口径2m級望遠鏡は、
撮像(r-band) ~22等
低分散分光~18等
中分散分光(R~10000) 12等
これだけみると、GAIAは既に地上2m望遠鏡よりもすごいことを
やってしまうように見えます。
もう地上には口径2m以下の望遠鏡はいらない??
いやいや、そうじゃないと思います。
まだまだこれから!です。
地上2m望遠鏡の観測例をあげてみましょう。
1、近赤外線(0.9-2.2μ)観測
GAIA衛星は可視(0.35-1μ)の観測なので、近赤外線を検出できません。
しかし、近赤外線でやらなきゃならない仕事はまだまだたくさんありますよね?
もちろん、近赤外線検出器は多少高いです。
とはいえ、近赤外線検出器の技術的な進歩や市場の拡大を考慮すると、
そのうちCCD並みに安価になるでしょう。
2、中分散分光(0.86μ付近を避ける)
GAIAの中分散分光観測はCa tripletから視線速度を求めるというもの。
他の波長域はやらないです。他の波長域の観測データがないとできないこと、
ありますよね?例えば化学組成解析。
3、高分散分光
8等とか明るい天体しか観測できませんが、高分散分光という道もあります。
系外惑星探索や化学組成解析・・・。
4、広がった天体の観測
GAIAでは点源から外れた天体は衛星上のパイプライン処理で捨てられます。
5、超高時間分解能観測
GAIAは5年間で、約70回の繰り返し観測をします。
時間分解能そこそこ高いですね~。
しかし、1時間とかそれ以下の時間分解能はないです。
規則的に変光する天体の研究は異なるサイクルのデータを
統計処理すれば問題ないですが、
不規則に変光する天体はそうはいきません。
6、効率的な深い撮像観測
地上の2m望遠鏡が勝っているのは、唯一撮像観測の深さ。
これはかなり大きな強みです。
しかも、地上の場合、望遠鏡、観測装置の更新がしやすく、
また既存のシステムはまだまだ改善の余地が残されてます。
単一の観測や荒い時間分解能での観測は
SDSS,Panstarrs,skymapperでやられますが、
より高い時間分解能での観測はまだまだやることが残っています。
まだまだ、ここには挙げていないものもあります。
何はともあれ、地上2m級望遠鏡はまだまだ活躍できます。