sakamttyの日記

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小惑星 2014 AA、地球大気圏突入~大切だった日本での観測~

 

ご存知の方も多いと思いますが、

小惑星2014 AAが地球の大気圏内に突入しました。

2014 AAは非常に小さかった(~数m)ので、大気圏で消滅しました。

しかし、もう少し大きかった場合、

この前のロシア並みかそれ以上の被害があったでしょう。

もっともっと早期に発見し高精度に軌道を決めないといけないですね。

今後の観測のために、小惑星センターのデータを使って、

今回の事象を振り返りたいと思います。

 

1.なぜ発見されたか

私は、主な理由は以下の3つだと考えてます。

(1)地球近傍小惑星サーベイがなされる領域を偶然通過

(2)観測領域の高度が高く、月もほぼ新月

(3)アメリカ大陸のお天気は晴れ

 

(1)について

今回発見時の明るさが19等近いので、

主鏡の口径が1m級以上の望遠鏡でないと発見困難でしょう。

現在、地球近傍小惑星サーベイ

口径1m級以上の望遠鏡を使って行われています。

しかし、残念ながら夜空全てを観測できているわけではないです。

主には、

小惑星がたくさん存在する「黄道」付近かつ

小惑星が最も明るくなる「衝の位置」から少し東側

だけです。

今回、小惑星は運よくサーベイ領域を通過しました。万歳! 

(2)について

サーベイ領域は日周運動に従って動くので、どんどん高度が変わります。

現在、地球近傍小惑星サーベイが行われている場所では

サーベイ領域はほぼ天頂(一番高度の高い方向)まで上がります。

(逆に春から夏はサーベイ領域は高くまで上がりません)。

高度が非常に高いので、地球大気の吸収散乱を受けづらく、

暗い小惑星まで発見しやすいです。

また、月が新月だったので、空全体が暗かったのも好条件でした。

(3)について

当たり前ですが、曇れば地上では観測できません。

現在、地球近傍小惑星サーベイを行っている場所は

主にアメリカ大陸とハワイです。

今回はアメリカ大陸が晴れてました。良かったです。はい。 

2.大切だった日本での観測

実は今回、小惑星の軌道決定する上で

日本はかなり重要な場所でした。

 

元の小惑星センターのデータはこちら

このデータの時間は世界標準時なので、

日本時間に直しました。

直したものが以下です。 クリックすると大きくなります。

一番左から年、月、日、時、分の順です。

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データは合計で大体1日少々(27時間)あります。

しかし、発見から1/2の17:30までは観測データがありますが、

1/2 18:00頃から1/3 17:00頃まで

けっこう長い時間観測データがありませんよね? 

この時間帯のうち、

1/2 18:00-1/3 6:00は日本は夜です

(一方アメリカ大陸は昼間+天体見えず)。

このうち、2014 AAが快適に観測できる時間帯は

1/2 22:00-1/3 4:00です。  

 

つまり、一見27時間分のデータがあるように見えますが、

日本での観測データがないので、たった5時間分しかないのです。

 

美星スペースガードセンター1m望遠鏡であれば、

(明るさ的には若干苦しいですが)見えたはずです。

しかし、観測機器不具合のためかデータがないです。

残念です。

 

3.まとめ

私は、地球近傍小惑星の衝突回避のためには、

日本か東アジアで晴れる場所に

監視可能な口径1-2m級望遠鏡を

複数台設置する必要があると考えます。

占有でなくてもよいので。