最近の地球近傍小惑星追跡観測について統計処理した結果

昨晩つぶやく予定が１日経ってしまいましたが、最近の地球近傍小惑星追跡観測について統計処理した結果を連ツイします。あまりご迷惑かからないように、M氏のような１０ツイート程度でやめるスタイルをとりたいと思います。

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統計処理に使ったのはMinor Planet Centerにあるデータです。Minor Planet Centerとは世界中から地球近傍小惑星の位置観測のデータをとりまとめる機関で、追跡観測するための軌道計算等を行っています。

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地球近傍小惑星はNEAと略します。NEAを探索する天文台(survey)と追跡観測する天文台(followup)を図示した下図を見て下さい。NEA探索の天文台はアメリカ西海岸とハワイにしかなく、追跡観測の天文台も偏った分布をしてます。

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次の図はNEA探索する各天文台ごとにNEA発見してからNEAを別の天文台で追観測されるまでの時間を示してます。横軸は発見時のNEAの明るさを表しており、この値が小さいほどNEAは明るいです。結構天文台ごとに違う分布を示します。

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Catalinaは明るめのNEAを発見しており、発見後すぐに追観測されてます。Mt.Lemonはやや暗めのNEAを発見しており、すぐかあるいは1,2夜後に追観測され始めてます。Spacewatchも同様。Panstarrsはすぐに追観測されることはなく、１夜後にされるようです。

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大雑把には明るいNEA(V<20等)ならすぐに追観測され始めますが、V>20なら追観測されるまでやや時間がかかっています。ちなみにNEA探索する天文台はどこも口径1m-1.8mの望遠鏡を使ってます。それから昔たくさんNEAを発見したLINEAR、今はほとんど発見してません。

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探索天文台ごとに、NEAがどこの天文台に追観測されているか見てみます。まずはCatalina。発見されるNEAが比較的明るいのが特徴。多くは発見後数時間以内にアメリカ西海岸で追観測されてます（もちろん他の地域もあり）

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2時間以内に観測している天文台付近を拡大すると、

Magdalena Ridge Observatory(MRO)がほとんど追観測。なんと早いと1時間後に観測。この迅速さは異常。MPCに報告前にCatalinaから直接データもらっているかもです。

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先ほど同様でほとんどアメリカ西海岸で追観測開始。特にMROが異常な程迅速。MPC(Minor Planet Center)はいらない気がしてます。報告時間分ロス。

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次はPanstarrs。これは発見されている小惑星が暗い（それから若干データ処理も遅い）ので、追観測なかなか始まりません。１晩経ってから2m級望遠鏡(Mauna Kea,MRO)で追観測され始めます

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まとめると、V<20のNEAは発見後すぐ（遅くとも1晩以内に）追観測開始、V>20のNEAは良い空下に2m級望遠鏡があるアメリカ西海岸かハワイに夜がきた時に追観測されはじめます。一部の天文台(MRO)は発見後1時間後から追観測してます。

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暗いNEAの追観測はアメリカ西海岸とハワイ以外の天文台ではほとんど開始されてません。こういったNEAがその地球衝突一晩前に発見されても、軌道が決まらずどこに落ちるか不明なまま最悪の事態を迎えます。アジアからヨーロッパに追観測用の2m級望遠鏡を複数台設置することは必要不可欠です。

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以上です。ご迷惑おかけしました。ご不明な点がありましたら、ご指摘下さい。なお、前回のツイートで、Panstarrsを2mとしていましが、正しくは1.8mでした。訂正します。

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sakamttyの日記