銀河系ハロー論文 Koch et al. Neutron-capture element deficiency of the Hercules dwarf spheroidal galaxy (arXiv:1304.2764) を読んで
SDSSで発見された非常に暗いHercules矮小銀河(Hercules ultra faint dSph,UFD)の明るい星を複数高分散分光したというもの。
おもしろいことに、様々な低い金属量の星([Fe/H]=-3.2~-2)について重い中性子捕獲元素であるBaが低いことがわかってます。
これは星形成効率低いことを示しているようです。
これくらいlow-mass dSphだとreionization 期のUVで星形成が抑制されるので、
その効果でBaが低くなっているのかもしれません。
しかし奇妙です。こういった星は太陽近傍にある銀河系ハロー星に比べて、
格段にBaが枯渇しているのです。
これは何を意味するかというと、
現存するUFDを銀河系に降らせたとしても銀河系ハローは形成できない
ということです。
Fig.3をみると、[Fe/H]~-3あたりではUFDの星も銀河系ハロー星も
[Ba/H]はだいたいcomparableですが、[Fe/H]=-3~-2では明らかに、Ba depletion。
銀河系ハローをつくった矮小銀河はUFDよりもgas-rich、high-massなもの
だったのかもしれません。
太陽近傍の超低金属量星([Fe/H]<-2)、いろいろな面で注目度高し。
単なるメモ:
UFDは少数のmassive starの爆発しか起こっていないので、個々のmassive starの特徴を反映しています。